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2025.02.01

冬の旬の食材 鰤(ブリ)

旬の食材「鰤 ブリ」特集🐟

ぶりは、日本で冬の代表的な魚として親しまれていますね。今回はブリの旬、栄養価、豆知識などについてです。

ぶりの旬

ブリの旬は一般的に12月〜2月頃、つまり冬の寒さが厳しくなる時期です。この時期のブリは「寒ブリ」と呼ばれ、特に日本海側で獲れるものが有名です。なぜ冬が旬かというと、ブリは回遊魚で、秋から冬にかけて産卵のために南下する過程で脂を蓄えるからです。寒さが厳しくなるほど海水温が下がり、ブリは体温を保つために脂肪をたっぷりと溜め込みます。この脂が、寒ブリ特有の濃厚な旨味ととろけるような食感を生み出します。

例えば、刺身で食べると、口の中で脂が溶け出し、甘みとコクが広がりますよね。

照り焼きのばあは脂が表面でカリッと焼けて、中はジューシーな仕上がりになります。

焼き魚や鍋(ブリしゃぶ)でも、加熱しても硬くなりにくく、ふっくらとした身が楽しめます。特に日本海の富山湾や石川県で獲れる寒ブリはブランド化されており、「氷見の寒ブリ」は有名ですね!

冬の荒々しい海で育つブリは身が締まり、味が凝縮されているのが特徴です。一匹まるごとだと10kgを超える大型のものもあり、見た目にも迫力があります。

旬のブリは鮮度が命です。新鮮なものは目が澄んでいて、身が透明感のあるピンク色を帯びています。切り身でも、脂の白い筋がしっかり見えるものが美味しいです。

ブリの栄養価

ブリは美味しさだけでなく、栄養面でも優れています。特に注目すべきは、豊富な脂質に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)。これらはオメガ3脂肪酸の一種で、血液をサラサラにし、心臓病や動脈硬化の予防に役立つとされています。冬の寒ブリは脂の乗りが良いため、これらの成分が特に多く含まれ、100gあたりDHAは約1,500mg、EPAは約1,000mg程度含まれています(数値は個体や部位による変動あり)。これはサーモンやサバと比べても遜色ないレベルです。

さらに、ブリはビタミンDの宝庫。冬は日照時間が短く、ビタミンD不足になりがちな時期ですが、ブリを食べることで骨を強くし、免疫力を高める効果が期待できます。100gあたり約10μgのビタミンDが含まれており、1日の推奨摂取量(成人で約5.5μg)の約2倍に相当します。また、ビタミンB12やタウリンも豊富で、疲労回復や肝機能のサポートにも寄与します。

カロリーは100gあたり約250~300kcalと、脂の多い魚としてはやや高めですが、これは良質なエネルギー源として体を温める役割も果たします。寒い冬にブリを食べることは、栄養学的にも理にかなっているわけです。ただし、脂が多い分、食べ過ぎには注意が必要です。適量を楽しむのが健康の秘訣です。

豆知識

ブリには面白い歴史や文化が詰まっています。まず、名前の由来には諸説ありますが、一つは「脂が乗る(あぶらがのる)」から「ブリ」になったという説。確かに冬のブリは脂がたっぷりで、この説に納得がいきます。また、ブリは成長とともに名前が変わる「出世魚」としても知られています。関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と呼ばれ、サイズが大きくなるごとに呼び名が変わります。これはブリが立派に成長する姿を人間の出世になぞらえたもので、縁起の良い魚としてお祝い事にも使われます。例えば、正月や結婚式の膳にブリが登場するのはこのためです。

漁法にもユニークなものがあります。日本海では「定置網漁」が主流で、ブリが回遊するルートに網を仕掛けて一網打尽にします。特に富山湾の「ブリ起こし」という現象は有名です。冬に雷が鳴るとブリが活発に動き出し、大漁になることからこう呼ばれます。科学的には、雷の低周波音がブリを刺激する可能性があると言われていますが、地元の漁師にとっては神秘的な自然のサインとして語り継がれています。

また、ブリは保存食としても重宝されてきました。江戸時代には、塩漬けにした「塩ブリ」が貴重なタンパク源として内陸部にも運ばれました。現代でも、余ったブリを塩麹や味噌に漬けて保存するレシピが人気です。こうした工夫は、冬の長い保存食文化と結びついています。

ブリを楽しむには?
ブリを味わうおすすめの方法です。

刺身はもちろん、薄切りにしてブリしゃぶにすると、さっぱりした出汁と脂のハーモニーが絶品です。また、ブリ大根は定番の煮物ですね。大根にブリの旨味が染み込んでほっこりします。

照り焼きは子供から大人まで愛される一品で、醤油とみりんの甘辛さがブリの脂とマッチします。ちょっと変わったところでは、ブリのカルパッチョ。オリーブオイルとレモンで洋風に仕上げると、意外な美味しさに驚きますよ。

冬のブリは、まさに自然の贈り物。その美味しさと栄養価を活かして、さまざまな料理で楽しんでみてください。

レシピ:ぶりの塩蒸し

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材料(2人分)

ぶりの切り身2切れ

玉ねぎ1/4個


塩ダレ

塩1グラム

ごま油大さじ1/2

水菜(お好みで)

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作り方
1、ぶりの切り身にひとつまみの塩(1グラム〜2グラム程度)分量外を両面にふり10〜20分ほどおく。表面に出てくる水分をキッチンペーパーなどで拭く。

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2、玉ねぎを薄切りにして耐熱容器に入れ、その上に1をのせ、合わせた塩ダレをかけふんわりとラップをして電子レンジ600W4〜5分加熱する。

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3、器に盛り、水菜をのせる。

大塚先生より一言

レシピは「ぶり」になっているのですが、写真は「たら」です。私が試作した時にはぶりが売っていたのですが、すみません。時間帯が悪かったのか店頭に販売してなかったので「たら」で作らさせていただきました。

ぶり、たらどちらでもとても美味しいので良かったら作ってください。

たらに塩をひとふりすると魚の臭みが消えるので、ちょっと手間ですが、やっていただけるとひと手間かけた分だけ美味しく仕上がります。

記事執筆者

記事執筆者

大塚 智美

・現役保育園栄養士
・時短料理研究家

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