突発性発疹(とっぱつせいほっしん)は、0歳~2歳までの乳幼児さんのほとんどが1度はかかるとされている「ウイルス感染症」です。感染者の99%は0歳児と1歳児の赤ちゃんが占めます。
主な症状は、突然の発熱(38℃以上が3~4日間)と解熱前後に現れる全身の細かい発疹です。突発性発疹の病原菌は、一度感染すると体内に潜伏し続けるため、感染を経験済みのご両親や保育園などのお友達からうつることが多い感染症です。
特に治療の必要はなく、自然に改善していきますので、安静にして十分な睡眠や水分補給を行ってください。ただし、突発性発疹が出た際、熱性けいれんや脳炎、脳症などの合併症が起こることがあるので、けいれんが20分以上続く、 ぐったりしている、機嫌が特に悪いなど、いつもと違う様子がみられる時は、すぐに医療機関を受診しましょう。
突発性発疹はウイルス感染症のひとつで、2歳までのお子さんのほとんどが感染します。しかし、まったく症状が出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」も約20%~40%あり、実は知らない間に感染していることも少なくありません。
突発性発疹の原因は、次のウイルスです。
ヒトヘルペスウイルス6型の感染後にヒトヘルペスウイルス7型に感染します。
このように原因ウイルスは2種類あるため、突発性発疹に2回なる可能性があります。
※2回目の感染(ヒトヘルペスウイルス7型)では典型的症状が出ないケースも多いので、突発性発疹に気づかない人も少なくありません。
なお、ほとんどの人が、4歳頃までにどちらのウイルスにも感染します。一度感染したら2度と、突発性発疹になることはありません。また、ヘルペス系ウイルスは一度感染すると、体内に潜伏し続ける特徴がありますが、潜伏していてもご本人のその後に変わりはありません。
突発性発疹の典型的な症状は、次の通りです。 ポイントは、「熱と発疹は出ても、風邪のときのような鼻水や咳があまり現れない」ことです。
ただし、熱だけ・発疹だけの場合もあります。さらに、まったく症状の出ない不顕性感染も感染の約20~40%にみられます。そのほか、瞼(まぶた)・大泉門・リンパ節の腫れなどの症状がみられることもあります。
突発性発疹は、基本的に感染しても問題なく自然に回復していく感染症です。しかし、次のような合併症がみられることがあります。
生後半年~5歳くらいまでのお子さんにみられる、高熱(38℃以上、特に急に熱が上がるとき)に伴う、5分未満の短いけいれんです。突然意識を失う、白目になる、目が一点を見つめるなどした後、体や手足が突っ張って、ピクピクと震えます。
熱性けいれんが起こった際には、「けいれんは何分間続いたか?」「体温は?」「どんな様子か?(片側だけけいれんしていないか?など)を確認しましょう。スマートフォンなどで様子を撮影するのもオススメです。また、初めて熱性けいれんを起こした場合には、念のためすぐに受診しましょう。
初めて、熱性けいれんを見た方は「こわい」「死んでしまうかもしれない」「脳に影響が残るかも」と感じて、パニックになる方も少なくありません。 熱性けいれんは、いわば未熟な脳の回路が急激な体温上昇によってショートしてしまった状態であり、多くは5分程度で治まるので心配ありません。
また、熱性けいれんは約10人に1人の割合で起こるもので、7割くらいのお子さんは起こっても1度きりで、3割くらいのお子さんは2回以上起こすことがありますが、多くは6歳くらいまでには起こさなくなります。 熱性けいれんを3回以上起こす場合などは、けいれんの予防薬を処方することがあります。
ごく稀に起こる、突発性発疹の合併症です。
主な症状は、けいれん・意識障害(意識がもうろうとする・反応がないなど)・嘔吐です。
熱性けいれんとは異なり、「けいれん時間が長い」「複数回けいれんを繰り返す」「けいれん後の意識戻りが悪い」ときには、小児救急外来を受診するとよいでしょう。
そのほか、劇症肝炎・血小板減少性紫斑病など重篤な合併症を起こすことがありますが、いずれの場合も「あまりに機嫌が悪い」「ぼーっとして反応が悪い」など「いつもと違う」と感じるときには注意が必要です。
突発性発疹には、有効な迅速検査はありません。症状(発熱・発疹)と月齢・年齢、病気の経過などの特徴から、総合的に診断します。
突発性発疹は、「発熱+発疹」の症状が出ることで、初めて診断できます。「発熱だけ」「発疹だけ」では、血液中の抗体量を調べる「抗体検査」をしない限り、突発性発疹の診断はつきません。
とはいえ、突発性発疹への抗体検査は治療上必要な検査ではないため、非常にまれな検査であり、一般的には行われていません。
突発性発疹は、発熱・発疹の後、自然に回復していくので、経過観察となります。場合によって、解熱剤や下痢止めなどの対症療法を行うことがあります。
突発性発疹は、インフルエンザとは異なり、法律上出席停止となる病気として定められていません。しかし、発熱中はお休みして、おうちで安静に過ごしましょう。
なお、発疹が出たら、感染力はほとんどありません。解熱後、発疹が出ていても元気があり、全身状態が良ければ、登園しても良いでしょう。
(参考)学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説(P.36)|日本小児科学会
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20200522.pdf
突発性発疹には原因ウイルスが2種類あるため、人によっては2回感染します。基本的な症状は「発熱+発疹」となります。しかし、1回目の突発性発疹(原因がヘルペスウイルス6型)では、多くのお子さんに発疹が出ますが、2回目(原因がヘルペスウイルス7型)では、 発疹が出ないケースが多いので、突発性発疹の2回目と分からないことも少なくありません。
また、1回目の感染は2歳以下となりますが、2回目の感染では2歳~4歳頃が多くなります。
特にありません。
また、基本的に発症後の経過が悪くないので、予防する必要はないとされています。
子どもから大人には、うつりません。突発性発疹の感染ピークは2歳頃までですが、遅くとも4歳頃までには、原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス6型・7型に感染済み(不顕性感染を含め)となるので、原因ウイルスの抗体を持っています。 そのため、感染者から4歳以上のお兄ちゃん・お姉ちゃんにもうつりません。
突発性発疹にならない子はいません。「えっ!でも、なってない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
突発性発疹の原因ウイルス(ヒトヘルペスウイルス6型およびヘルペスウイルス7型)には、ほとんどの人が4歳くらいまでに感染しています。
ただし、感染してもまったく症状が出ない不顕性感染も約20~40%存在し、「熱だけ」「発疹だけ」などのケースもあるため、実は感染に気付いていない方も多くいらっしゃいます。
発熱時と同じような点に注意するとよいでしょう。
突発性発疹は、発熱後ポツポツと赤いブツブツがみられるウイルス感染症です。 そして、赤ちゃんにとって「初めての病気」となる場合が多く、しかも「高熱」ということで、大変心配される親御さんは少なくありません。
しかし、ほとんどの突発性発疹は自然に回復していきます。 高熱で頭がおかしくなることはありませんし、高熱でもミルクを飲む、離乳食を食べる、うんち・おしっこをするなど全身状態が良ければ、 慌てずに通常の外来時間にご来院いただければ大丈夫です。