日本人が1番最も不足しやすいと言われるビタミンB1は、炭水化物からエネルギーを産生するためにとても大切な役割を果たすビタミンです。そのため「食欲不振」「イライラ」「だるさ」「動悸」「息切れ」などが生じます。多くの食物に含まれていますが、体に貯蔵できず排泄されやすいため、知らない間に不足している場合もあります。
ビタミンB1はビタミンB群の1つであり、炭水化物からエネルギーを産生するためにとても大切な役割を果たすビタミンです。ビタミンB1は日本人に最も不足しやすいビタミンとも言われています。自分は問題ないと思っていても放っておくと、欠乏症になる可能性もあります。
ビタミンB群に属する栄養素としては…
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸などがあります。ビタミンB群はどれかひとつだけでは効果を発揮しにくく、お互い助け合いながら働きます。バランスの取れた食生活をしていれば不足することはないと考えられていますが、現在は多くの日本人がビタミンB1不足だと言われています。
普段の生活でちょっと疲れやすくなっていたり、イライラしやすくなっていると感じている時は、もしかしたらビタミンB1が不足しているのかもしれません。
目次
水溶性ビタミンの仲間であるビタミンB1は米ぬかから分離した脚気予防因子を「ビタミンの」と名づけました。解糖系やクエン酸回路のエネルギー代謝の一部で補酵素として働きます。ビタミンB1には、糖を代謝しエネルギーを作り出す働きや神経を正常に機能させる働きがあります。
ビタミンB1は、神経とも関係が深く、中枢神経や抹消神経の働きを常に保つ役割をしています。そのため、不足すると脳へのエネルギーが不足し、糖質の分解がうまく行われにくくなり、代謝が落ちる原因となったり、疲労が蓄積され、不安症状を起こしてしまいます。そのため「食欲不振」「イライラ」「だるさ」「動悸」「息切れ」などが生じます。夏場は特に夏バテ予防として摂りたい栄養素です。
足などの抹消神経の司令塔は脳ですが、その脳を働かせているエネルギー源はブドウ糖で、これを利用するにはビタミンB1の働きが必要になります。ビタミンB1が不足していては、脳にエネルギーが供給されなくなって、末梢神経を働かせることができなくなり、運動能力が低下して足のしびれなどが出てきてしまいます。
糖質の摂取が多い人日本人には特に不足しやすい栄養素で、意識して取る必要があります。ちょっと食べてもすぐ太る時にはビタミンB1不足を疑いましょう。
●糖質をエネルギーに変える
●アルコールの代謝に関与する
●脳の働きに関与する
●神経の働きを正常に保つ
下記に当てはまる方はビタミンB1不足の可能性があります。
□肩こりがある
□筋肉痛になりやすい
□疲労(倦怠感)
□食欲不振
□手足のしびれ
□むくみ
□アルコール中毒
□記憶力減退
□集中力低下
□音に過敏
□脚気
□神経炎
□ウェルニッケ
明かな欠乏症状がなくとも、血中ビタミン濃度が低く、疲労感などに悩む「潜在的ビタミン欠乏症」は多くみられます。
ビタミンB1を取っていていても下記に当てはまる方はより多くのビタミンB1が必要となります。そのため、特に不足しないように注意が必要です。
□アルコールをよく飲む人
□白米や糖分を多く摂る人
□スポーツをよくする人
□ストレスの多い人
若い人やスポーツをする人は習慣的に、インスタント食品や清涼飲料水などから糖質を過剰に摂取し続けています。栄養バランスを崩してビタミンB1を含む動物性食品等が著しく不足したという例もあるようです。
ビタミンB1は、たくさん取り過ぎても体に貯蔵できず排泄されやすいため、過剰症の心配はありません。
乳児期や幼児期は男女の摂取量には差がありませんが、成長期を迎える頃には男女ともに摂取量が増加し、さらに男女差でも推奨量が変わってくることからみても、ビタミンB1は成長期を支えるためにも重要な栄養素だというのがわかります。
昔の日本人は玄米や麦、粟、ひえなどの雑穀を食べ、糖質と同時にビタミンB1を補っていましたが、精白米を食べるようになった明治以降はビタミンB1を捨ててから食べているようなものになりました。そういった面でも現代人は意識的に摂取が必要になってきます。
妊娠期間中は、平均必要量よりも0.2mg多く摂取することが望ましいといわれています。ビタミンB1は胎児の神経細胞形成にも必要な栄養素で、ビタミンB1が著しく欠乏すると、奇形性を引き起こす可能性があるとも言われています。
さらにつわりなどの症状がひどくなると、栄養が補給できない妊婦も多いため、脚気やむくみ、食欲不振や神経炎などの症状が引き起こされる可能性も高くなります。さらに急性のビタミンB1欠乏症によるウェルニッケ脳症を引き起こす可能性があります。妊娠中は、推定摂取量を摂取できるようにこころがけるのがいいでしょう。
下記は厚生労働省が日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書を基に、ポイントをスライドにまとめた一部です。厚生労働省の推奨量は、脚気などにならない必要最低量であり、普段からこの量を摂取できていれば問題がないわけではありません。
※引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
身体に蓄えておくことができないので、しっかりと食事をとって摂取することが大切です。
ビタミンB1は、肉類(豚肉、レバー)、魚類(ウナギ、カツオ)、豆類、穀類、種実類などに多く含まれています。穀類では米ぬかや小麦はいがに多いため、精白米にするとビタミンB1の含有量は少なくなります。
野菜はもやし、そら豆、パセリ、芽キャベツ、ほうれん草、ニンニクなどに含まれいます。水に溶けやすい性質を持っているので、野菜などを洗うときには手早く洗うようにしましょう。
ビタミンB1はニンニクやタマネギなどに含まれているアリシンと結合してアリチアミンになると、吸収率が高くなります。しかし、熱に弱い性質なので、長時間加熱する料理では消失してしまう栄養素です。ビタミンB1を意識して摂取する料理なら、加熱時間を短くし、水溶性なので、出来る限り煮汁を使い切るような料理が良いでしょう。
野菜は「ぬか漬け」にすることで、ぬかの栄養が野菜に加わるため、ビタミンB1が大幅に増えます。例えば大根をぬか漬けにした場合、生の大根の約16倍になります。
アルコールや糖質を分解するときに大量に消費されてしまうため、お酒をよく飲む方やお菓子をたくさん食べる方はせっかく摂取したビタミンB1が無駄に消費されてしまわないよう注意しましょう。
ビタミンB1は私達が健康的な生活をおくる上で、必要不可欠な栄養素です。肉類、魚類、豆類、穀類、種実類などに多く含まれており、毎日の食事で摂取できていそうですが、白米や糖分を多く摂る日本人はビタミンB1不足と言われています。だからこそ毎日不足しないように意識的に摂取していただきたいです。
肉体的・精神的な疲労を抑える働きがありますので、情緒不安定や倦怠感、弱った神経の働きを正常にし、イライラを鎮めてくれます。少しで症状が当てはまったらビタミンB1不足を疑い、食事などで意識的に摂取しましょう。
食事の中で摂取できるのが一番ですが、毎日は難しい場合もあります。そんな時はサプリメントなどで補ってあげるのも一つの方法です。健康で元気な生活をおくるためにも、ビタミンB1の摂取を意識していきましょう!