当院では栄養士の大塚さんにご協力いただき毎週栄養たっぷりのレシピをご紹介します✨第7回目は前回に続き、ボーンブロスをご紹介します🍳 今回は日本人にはお馴染みの昆布と煮干しでとっただしです!ボーンブロスは健康食として注目されたのは最近なんですが、歴史は古く石器時代からある伝統的なスープです。狩猟で獲物の肉を食べ、残った骨を煮込むことで必要な栄養素を摂取してきました。煮干しに関しても歴史は古く、1300 年前の飛鳥時代の文献にすでに煮干しらしきものが山口県から朝廷への献上品として貢がれている記録があるようです。現在の煮干しに近いものは18 世紀初めごろからイワシの取れる瀬戸内海地方で生産が始まったといわれています。
最近では洋食を食べることが増え、腸が疲れている方も多いのではないでしょうか?ボーンブロスのような少しの工夫で多くの栄養素をとりながら健康に近づくことができます。今回ご紹介する和風ボーンブロスは、お味噌汁や、煮物などよく口にする食事に使うことができます。
1人暮らしや男性はご自宅ではなかなかご自身で出汁を取ることはないと思いますが、今回ご紹介するレシピは材料をお水につけて冷蔵庫で一晩置いておくことでできる簡単なものです✨これを機に和食作りを試してみては如何でしょうか?出汁には疲労回復・血流改善・さらに女性には嬉しい美容効果など、健康には嬉しい効果がたくさんあります。
今回は出汁の作り方だけではなく、出汁を使ったカレーのレシピをご紹介しますので合わせてご覧ください👀☆
出汁を取ることによるメリット
何気なくとっていた出汁ですが、出汁に含まれる昆布と煮干しにはとてもたくさんの栄養が含まれていることをご存知ですか?
《昆布出汁のメリット》
アルギン酸という天然の食物繊維が含まれています。アルギン酸には様々な働きがあります。例えば、血圧の上昇を抑制する効果やコレステロール値を下げる効果、動脈硬化を予防する効果、過剰な脂肪の摂取や血糖値の急激な上昇を抑えるなど様々な効果を持ちます。脂肪をたまりにくくする栄養素が含まれているのでダイエットの方や日頃の肥満防止に取り入れるのもおすすめです。
《煮干しのメリット》
煮干しにはカルシウムをはじめとする様々なミネラルが含まれています。また、血液をきれいにすることで知られるDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸も豊富に含まれています。脂質が100 グラムあたり6.5g、糖質が 100gあたり2.3gと低く、100gあたり64.5 グラムとタンパク質が多いことから筋トレ時の食事にも向いています。
出汁には多くの栄養素が含まれています。
カルシウム
体が正しい生命活動を行うために無くてはならないものであり、骨や歯を作る、心を落ち着かせるなどの効果があると言われています。煮干しのカルシウム含量は、牛乳の約20倍と言われ、数ある食品の中でも群を抜いています。
亜鉛
亜鉛は主に骨格筋・骨・皮膚・肝臓・脳・腎臓などにある成分と言われ、タンパク質の合成に関わる酵素の材料として使われます。体内で作り出すことができないため、食事から摂取する必要があります。
タンパク質
筋肉、臓器、皮膚、骨、毛髪などの主要成分として存在するほか、体の機能を調整するホルモン、酵素、抗体などの体をつくる材料になる栄養素です。
鉄分
鉄分は日本人が不足しやすい栄養素とも言われています。鉄分不足=貧血ということはご存知の方も多いかと思います。貧血になるとからだが重い、息がきれる、顔色が悪い、疲れやすいと感じるようになります。
DHA
脳に必須の栄養素です。脳の活動や神経系の機能を高め、記憶力や学習能力の向上あるいは認知症の予防に効果があります。赤ちゃんの脳が健やかに育つのは母乳にたくさんのDHAがあるからです。
EPA
体内で合成されない必須脂肪酸の一つです。血液をサラサラにする働きがあり、悪玉コレステロールや中性脂肪を減少させる働きがあると言われています。
和風ボーンブロス
材料
煮干し 15g
昆布 10 g
水 1000ml
作り方
水に煮干しと昆布を入れて一晩冷蔵庫に置いておけば出来上がりです!
お味噌汁などいつもの料理に使ってみてください。市販のだしの素を使うよりも少し高級な味になります。
*煮干しスープを一晩、冷蔵庫に置いておくと黄金色になります
残った煮干しと昆布にも栄養がありますので、捨てずに佃煮にするとご飯のお供として美味しく食べられることができます。作り方はとても簡単で、フライパンに残った煮干しと昆布を入れ、醤油、みりん、砂糖、生姜を加えて煮てください。
和風ボーンブロスを使ったスープカレーレシピ
【材料】
鶏手羽元 8本 (500g)
塩 1g
すりおろしニンニク 1かけ
すりおろし生姜 1かけ
キャベツ 2枚 (180g)
にんじん 1/2本(100g)
玉ねぎ 1個(30g)
トマト小 3個(300g)
ゆで卵 4個(お好みで)
カレー粉 大さじ1
塩 小さじ1
りんご酢 大さじ1
出し汁 1000ml
【作り方】
1、ポリ袋に手羽元を入れ、塩、すりおろしニンニク、すりおろし生姜を入れ揉み込み 20分ほどおく
2、キャベツは一口大に、にんじんは乱切りに、玉ねぎは薄切り、トマトは1cm角に切る
3、鍋に玉ねぎを中火で炒め、しんなりしたら、手羽元を入れます
手羽元の色が変わったら煮干しスープ(和風ボーンブロス)、りんご酢を入れ弱火で 20 分ほど煮込む
4、人参を入れて 20 分ほど煮込みます
5、トマト、キャベツを入れ 10 分ほど煮込む
6、カレー粉、塩を加え 20 分加熱する
出来上がり✨
鶏の手羽元がほろほろと柔らかく優しいカレー味で美味しくできます😄
前回でお伝えしたホットクックがご自宅にあるようでしたら、切った材料に調味料を全て入れ
「メニューを選ぶ→カテゴリーで探す→カレーシチュー→ビーフカレー→スタート」これで、ほったらかしで1 時間ほどでできます!!!
ボーンブロスに使う骨の注意点
今回は昆布と煮干しですので、特に気をつけることはありませんが、お肉やお魚で作るときには少し注意が必要です。
骨を選ぶときは、できるだけ「グラスフェッド(grass fed)」と呼ばれる、牧草を食べて育つ放牧牛(できればオーガニック)の骨を見つけましょう。栄養が豊富で、毒素の少ない環境で育った健康的な家畜の骨である場合が多いです。抗生物質を多く使って育った動物の骨は、私たちの腸内細菌のバランスを乱すリスクもありますので、継続してボーンブロスを作る場合は特に注意が必要です。
魚の骨については油の少ない魚のアラがおススメです。カレイ、たら、メバルなどの淡白な白身魚がいいです。また、魚の頭にはゼラチンが豊富に含まれているのでおすすめです。魚も肉と同様に産地や、育った環境に注意をして購入してください。天然で、健康的に育った魚、脂の少ない魚がよいと言われています。
まとめ
料理に取り入れやすい出汁は、様々な料理に活用できます。だし巻き卵、炊き込みご飯、雑炊、煮物、うどんや蕎麦の汁などやはり和食と相性がとてもいいです。和食以外にも今回ご紹介したようにカレーはもちろん、他にもコンソメの代わりとして使用することもできます🙆♀️
料理に使うだけでなく出汁に含まれるグルタミン酸には食べ過ぎを防止する効果やストレス軽減、心を落ち着かせる効果が期待できるとされています。お茶やコーヒー代わりに一息つきたい時に飲むのもおすすめです。
塩などの味付けをしていないので、離乳食が始まった小さなお子様への食事にも活用できます。栄養素の部分でお伝えしたように、DHA、EPAなども含まれていますので、脳の活動や神経系の機能を高め、お子さんの記憶力や学習能力の向上、大人の場合は認知症の予防に繋がります。さらに、味覚を育てるのにも役立ってくれるので、是非いろいろな世代で取り入れていただければと思います。