当院では栄養士の大塚さんにご協力いただき毎週栄養たっぷりのレシピをご紹介します✨
今回は前回ご紹介した「低FODMAP」食品の中からフルーツ・乳製品にスポットを当てて、低FODMAPスープのレシピをご紹介します。
前回もお伝えしましたが、「低FODMAP」食品は、慢性的な下痢や便秘、ガスが溜まりやすい(お腹が張りやすい)などのなんだかよくわからないお腹の不調を持つ方へ効果的です。
普段何気なく食べている食材・健康のために食べている食材が「高FODMAP」食品の可能性があります。毎日、気をつけているのになかなか改善しないという方は是非「低FODMAP」食事法をお試しください!
前回の「低FODMAPサラダ」や過去のレシピが気になる方はこちらよりご覧ください。
こんなお腹の不調はありませんか?
下のチェック項目にひとつでも思い当たれば、腸に不調がある証拠です。
□糖質オフでごはんを控えているのに、お腹が張る
□パンやパスタを食べると、下痢をしたり便が硬くなる
□乳製品を摂ると、お腹が痛くなる
□毎朝ヨーグルトを食べているのに、便秘が改善しない
□ゴボウや豆などの食物繊維を摂ると、下痢または便秘になる
□納豆やキムチなどの発酵食品を摂っているのに便秘気味だ
□玉ねぎやニンニクを食べると下痢や腹痛が生じる
□きのこ類を食べるとお腹が痛くなる
□りんご、桃、柿を食べるとお腹に不快感を感じる
□キシリトールガムを噛むとお腹がゆるくなる
大腸が知覚過敏状態の過敏性腸症候群(IBS)や、小腸内に腸内細菌が増殖して大量のガスが発生するSIBOという病気に陥っている場合、一般的に腸にいいといわれる整腸食が敵となる場合もあります。
良いと思っていた食事が、逆に腸へ刺激を与えている可能性があります。
低FODMAP 食品 〜フルーツ・乳製品〜
前回の振り返りになりますが、まずFODMAPとは何かを簡単にご紹介します。
Fは「発酵性の」という意味で続く4つの糖質にかかります。
いずれも小腸で吸収されにくいため、SIBOの人は小腸が、IBSの人は大腸が過活動になると考えられています。
F(Fermentable):発酵性の以下の4つの糖質 O(Oligosaccharides):オリゴ糖(玉ねぎなど) D(Disaccharides):二糖類(ヨーグルト、牛乳など) M (Monosaccharides):単糖類(蜂蜜、果物など) A(and) P (Polyols):ポリオール(人工甘味料キシリトールなど) |
■具体的にどんな食品を食べればいいの?
【フルーツ】
多くの果物には、フルクトース(糖の一種であり、単糖の1つ。全ての糖の中で最も多く水に溶けます。はちみつ・メロン・根菜に多く含む)が含まれています。しかし、全ての果物が高FODMAPというわけでなく、種類によっては吸収されにくく糖質が少ないです。
積極的に摂取したいもの | 避けた方がより食品 |
バナナ、ベリー(ブルーベリー、いちご、ラズベリーなど)、メロン、柑橘系(レモン、オレンジ、ライムなど)ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、パパイヤ、ココナッツミルク、ドリアン | りんご、さくらんぼ、ドライフルーツ、いちじく、マンゴー、もも、梨、プラム、スイカ、グレープフルーツ、缶詰のフルーツ |
【乳製品】
乳製品に含まれている乳糖は動物の乳、特に牛乳に多く含まれています。過敏性腸症候群の人は乳糖を分解する酵素であるラクターゼがうまく働かないと、乳糖を十分に分解できません。日本人の7割はラクターゼが少ないため、牛乳を飲むと下痢をする人が多くみられます。
積極的に摂取したいもの | 避けた方がより食品 |
アーモンドミルク、豆乳、バター、カマンベール、モッツァレラチーズ、パルメザンチーズ | 牛乳、アイスクリーム、クリームチーズ、プロセスチーズ、ヨーグルト |
豆乳は種類によって低FODMAPと高FODMAPに分かれます。大豆から作られた「大豆由来」の豆乳は高FODMAP食品です。大豆の抽出物から作られた「大豆抽出物由来」の豆乳は低FODMAP食品です。日本で販売されている豆乳はほぼ大豆由来なので、「大豆抽出物由来」の豆乳を探すのはなかなか難しいのが現状です。
低FODMAP 食品 実践方法と注意点
摂取したいもの・避けた方が良いものと記載をしてしまいましたが、全てを制限するものではありません。自分の不調の原因を探すことがとても大切です。期間は長くなりますが、コロナ禍で在宅が続いている方はチャレンジしやすくなっていると思いますので、お試しください。
■実践方法
①高FODMAP食品の制限
避けた方が良い食品(高FODMAP食品)を日々の食事から制限し、2~4週間の期間を設けて、体調の変化をみてみてください。この制限で、お腹の不調が改善されれば次のステップに進みます。変化がない場合は高フォドマップの食品以外が原因のため、低フォドマップ食を続けても効果は期待できません。
②制限した食品を復活させる
①で制限したものを少しずつ復活させます。復活させても症状が出なければ、その食品は摂っても問題のないとみなします。そのプロセスを6〜8週間ほど繰り返し、制限した中から自分の不調の原因となる食品を探します。
※制限していた糖質を久しぶりに摂取すると、前よりも腹痛や下痢、お腹のガスなどの症状がはっきりとわかります
③特定した高FODMAP食品を避けつつバランスの良い食事を摂る
高FODMAP食品にも栄養のある食品は多くあります。ご自身に合わない高FODMAP食品を避けながら、自分の身体に合う食事をしつつ、外食をする際は気をつけて食事をするようにしましょう。
■注意点
①栄養の偏りに気をつける
高FODMAP食品には、栄養価が高く、私たちの体には欠かせない栄養素を含んているものが多くあります。完全に排除してしまうと栄養が偏ってしまいます。
②同じ食材で調理法によって変わる
同じ食材であっても調理次第で、低FODMAPにも高FODMAPにも変わります。例えば、白菜は低FODMAPに分類されますが、キムチは高FODMAP食品です。身体に合う合わないが分かった後は、バランスより摂取しましょう。
ココナッツミルクスープ
栄養士からの一言
ココナッツミルクと鶏肉の相性は良く、何杯でも食べたくなる美味しさでした。低FODMAP食材である、例えばカボチャなどを加えても美味しいです。スープを多めに作っておくと小腹が空いた時などにも食べれて重宝します。
材料
鶏手羽元 4〜6本 (350g)
じゃがいも 1個 (150g)
トマト 1個(200g)
にんじん 1/2 (100g)
ココナッツミルク 1缶(約400ml)
水 200ml
塩 全体量の0.5g
カレー粉 小さじ2
りんご酢 大さじ1
作り方
1、鶏手羽元にカレー粉をまぶす
2、野菜を切る
じゃがいもは半月切り、トマトは2cmくらいの角切り、にんじんは乱切りにする
3、オリーブオイルを中火で熱し、鶏手羽元を薄く色づくまで焼く、その後野菜を加えて炒める
4、水・りんご酢を加え、15〜20分ほど煮る
※じゃがいもを串でさしスッと通るまで加熱してください
5、ココナッツミルクを入れ加熱し、塩を加えて味を整え完成
お好みでナンプラー唐辛子、パクチーなどを加えても美味しく食べることができます
まとめ
不調が軽減するためにやっていたことが、実は自分の身体に合っていなかったという場合があります。そんな方は、厳格に低FODMAPするのではなく少しずつ自分ができる範囲で行ってみましょう。
低FODMAPを気にしすぎてしまい「積極的に摂取したいもの」のみを摂取していると、栄養不足に陥ることがあるからです。まずはいつも食べているものの中に、実はお腹の不調を招いているものがないかをチェックするつもりで試してみてください。
これから夏になり、食欲がなくなるとフルーツやアイスなどに頼ってしまいがちですが、夏の果物やアイスなどは高FODMAPな場合が多いので少し気をつけて選んでみてください。