低FODMAP 〜豚肩ロースマーマレード漬け焼き〜

当院では栄養士の大塚さんにご協力いただき毎週栄養たっぷりのレシピをご紹介します✨
過去のレシピに関してはこちらよりご覧ください。

今回も引き続き「低FODMAP」に関してです。過去2回では、野菜・芋類・きのこ類・豆類、穀類・フルーツ・乳製品の低FODMAP食品と高FODMAPをご紹介してきました。今回は肉類・魚類・ナッツ・スパイス・飲料系・調味料など残った食材の低FODMAP食品と高FODMAPをご紹介していきます!

自分の好きな食べ物が実は身体に合っていなかったという発見もあるかもしれません💦

なかなか治らないお腹の悩みには「腸に良い食事」が大事になってきます。ご自身の身体と確認し合いながらバランスの良い食生活を心がけましょう。

色々試しているのになかなかお腹の調子が良くならない…..

下痢や便秘・お腹の張り、腹痛など様々な症状がありますが、それが普通になっていませんか?

ネットやテレビ、雑誌などでは
乳酸菌が良い
食物繊維が良い
発酵食品が良い….. などなど様々な情報が飛び交っています。
しかし、なかなか良くならないという方は多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調べによると、胃腸をはじめとする消化管の病気で治療を受けている人の総数は約1000万人にのぼると推定されているようです。

運動や睡眠などの体質改善に加えて、腸に良い食事を心がけているのに、改善されない方や、長い期間便秘や下痢・腹痛などの症状を抱えており、すぐにお腹がパンパンに張ってしまって苦しいという方はSIBOと呼ばれる小腸内細菌異常増殖の可能性があります。

SIBOは簡単に説明すると、腸内細菌が増えすぎてしまっている状態です。

本来、腸の悩みを解消するためには、腸内細菌を増やし、発酵を促し、腸のエネルギー源を作り出し、元気に働けるようにします。そのためにはメディアで取り上げられる乳酸菌や食物繊維・発酵食品が必要となってきます。
しかし、SIBOの場合は逆に腸内細菌が多すぎてしまい、発酵も過敏になり、腸内は酸化してしまい炎症が起き、下痢や便秘・お腹の張り、腹痛などの症状が出てきてしまいます。そのため、一般的に言われている腸内細菌を増やすような食事をすると逆効果となり治りません。

SIBOは、ストレスや緊張でお腹の不調を招いてしまう過敏性腸症候群の方に多く、過敏性腸症候群の方のうち85%がSIBOだとも言われています。お腹の症状以外にもうつ症状(気分の落ち込み、不安感、パニック症)、湿疹やニキビ、不眠、慢性的な鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏症、やせ、肥満、むずむず足症候群といった症状も引き起こしやすくなると言われています。

大人だけでなくお子さんでも起こりうる症状ですので、気になる症状の方が周りにいらっしゃる場合は、食生活などを見直し、長期間治らない場合は当院へご相談ください。

低FODMAP 食品 〜肉類・魚類・ナッツ・スパイス・飲料系・調味料など〜

前回の振り返りになりますが、まずFODMAPとは何かを簡単にご紹介します。

Fは「発酵性の」という意味で続く4つの糖質にかかります。
いずれも小腸で吸収されにくいため、SIBOの人は小腸が、IBSの人は大腸が過活動になると考えられています。

F(Fermentable):発酵性の以下の4つの糖質
O(Oligosaccharides):オリゴ糖(玉ねぎなど)
D(Disaccharides):二糖類(ヨーグルト、牛乳など)
M (Monosaccharides):単糖類(蜂蜜、果物など)
A(and)
P (Polyols):ポリオール(人工甘味料キシリトールなど)

■具体的にどんな食品を食べればいいの?

【肉類・魚類】

積極的に摂取したいもの 避けた方がより食品
肉全般(牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉)、魚介類、ベーコン、ハム 魚の缶詰、ソーセージ

【ナッツ・スパイス】

積極的に摂取したいもの 避けた方がより食品
アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ、ピーナッツ、栗、松の実、かぼちゃの種、ひまわりの種、ミント、バジル、パプリカパウダー、唐辛子、パセリ、カレー粉、シナモン、ターメリック、サフラン カシューナッツ、ピスタチオ、きなこ、あずき、アーモンド、ヘーゼルナッツ

※アーモンドとヘーゼルナッツは10粒以下で低FODMAP、20粒以上で高FODMAPになる

【飲料品】

積極的に摂取したいもの 避けた方がより食品
紅茶、緑茶、アーモンドミルク、レモンジュース、ライムジュース、クランベリージュース、ビール、ジン、ペパーミントティー、ウイスキー、ウォッカ、タピオカティー、甘くないワイン、甘くないスパークリングワイン、日本酒 アップルジュース、マンゴージュース、烏龍茶、オレンジジュース、レモネード(加糖)、カモミール、甘いワイン、梨ジュース、蜂蜜入りジュース、シェリー、ラム酒、エナジードリンク、麦芽コーヒー、マルチビタミンジュース

【調味料】

積極的に摂取したいもの 避けた方がより食品
たまご、マヨネーズ、オリーブオイル、メープルシロップ、醤油、酢、トマト瓶詰、ココア、ウスターソース、ココナッツオイル、味噌、魚油、キャノーラ油、ピーナッツバター 蜂蜜、カレーソース、バルサミコ酢、オリゴ糖、ブイヨン、トマトケチャップ、キシリトール

生活習慣で腸の状態を良くする

何を食べるかももちろん大事ですが、それと同時に生活習慣も大事になってきます。無意識に行っていることが腸に影響を与えている原因になっていることもありますので、できるところから心掛けて日々の生活を過ごしてみてください!

①よく噛んで唾液の分泌を促す
よく噛んで食べると満腹感を得やすくなります。噛むことで脳が刺激されて、「神経ヒスタミン」という脳内物質が生成されます。この神経ヒスタミンが満腹中枢を興奮させて、食べ過ぎを抑えます。しかもよく噛むことで、血糖値の急上昇を抑えることができ、食後の眠気が起こりにくくなります。

②胃腸を冷やさない
胃腸が冷えて腸内環境が悪くなると、老廃物が溜まり肌荒れや吹き出物の原因にもなります。血行が悪くなる新陳代謝がうまく行われなくなり肌のハリやツヤがなくなります。しかも、消化吸収力が弱まり内臓機能の低下で代謝が落ちるので痩せにくい身体になってしまいます。

③運動をして筋肉をつける
運動が血流を流し、酸素が全体に巡ります。気持ちいいと思える運動は自律神経にも良い影響を与え、ストレス解消にもなり腸の活性化にもつながります。お散歩やラジオ体操、家の中でのスクワットなどでまずは筋肉を鍛えてみるのもいいです。

④睡眠をとる
睡眠ホルモンの「メラトニン」は脳内で分泌されるホルモンの1つです。朝起きた時に朝日を浴びると分泌が抑えられ、その14~16時間後に再び分泌が始まり、分泌量が多くなることで眠気を感じさせる睡眠リズムを整える役割を果たします。メラトニンは胃腸の症状を良くする働きもあります。

⑤ストレスを解消する
ストレスを溜め込んでしまうと、自律神経のバランスが崩れ、胃腸の機能が正常に働かなくなります。自律神経は自分の意思に関係なく、呼吸・心拍・循環・消化などの機能をコントロールする神経です。自律神経には活動神経である交感神経とリラックス神経である副交感神経の2つがあります。日常の生活でどちらかが優位になりすぎると自律神経のバランスが乱れ、その影響は胃腸に関しては消化・排出などが機能しなくなり胃腸の運動機能を低下させてしまいます。

⑥夜、寝る前3時間は食べない
食事をして消化が落ち着くまで最低でも3時間は必要です。夜遅く食事をすると寝ている間も胃腸が活動してしまいます。睡眠の質を下げないためにも寝る3時間前に夕食をとっておいたほうがいいです。どうしてもお腹が空いた場合は消化に良い食べ物を食べるようにしてください。

⑦腹8分目にする
満腹になる少し手前、もう少し食べられそうなくらいを目安に腹8分目で食事を終えるようにしましょう。満腹になるまで食べるより、食べる量を少し減らしたほうが身体にかかる負担を減らすことができます。一度にたくさんの食事を摂取することで、食べ物の消化をするために必要な消化酵素が追いつかず、そのために酸素不足により腸内環境を悪化させる原因になります。腸内環境が悪化することで免疫機能などにも影響を与えてしまいます。

豚肩ロースマーマレード漬け焼き

栄養士からの一言
暑くなってしました。暑いとなかなか料理するのが億劫になりますよね?!?
ガスコンロに立たなくてもいい、オーブンでできる漬け込み肉の紹介です。マーマレード焼きは保育園の給食でも出します。鶏モモ肉を使うことが多いのですが、今回は豚肉で漬け込んでうあきました。鶏肉でも美味しくできますので、2パターンで試してみてください!また冷凍保存しておくことも可能ですので、多めに作っておいて、忙しい日には温めてお召し上がりください。

材料

豚肩ロース(とんかつ用) 2枚(300g)

〈漬け込み調味料〉
マーマレードジャム    大さじ1と½
すりおろしニンニク    ½かけ
すりおろし生姜      ½かけ
醤油           大さじ1

作り方
1、豚肩ロース肉を〈漬け込み調味料〉で漬け込む
(最低でも半日は漬けておくと美味しくなります)

2、200度に予熱したオーブンで20分ほど焼いたら出来上がり

まとめ

腸に炎症が起きている状態が続くと、 ウイルスや細菌、有害物質が簡単に腸壁を通過するようになり、血液に取り込まれてしまいます。免疫が大きく下がり、病気になりやすくなります。

慢性的にお腹の調子が悪いという方はもちろん、最近ちょっと調子がおかしいなと思う方はなるべく低FODMAPを摂るようにし、できる限りで生活習慣も改善するよう心掛けましょう。

しかし低FODMAPだけを気にして食事をしてしまうと、栄養が偏ってしまうので、身体との相性を見ながら、バランスよく食事を摂取するようにしましょう。

当院では院長による栄養外来を行っております。興味がある方は当院へお越しいただき、院長の診察をご希望ください!

記事執筆者

大塚 智美

・現役保育園栄養士
・時短料理研究家

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